「令和4(2022)年版厚生労働白書」によると、福祉サービス利用者の増加に伴い、介護や障害、保育分野等の職員数は増加しています。また、介護職種の離職率は 2019 年に初めて産業計を下回り、低下傾向にあるものの、介護や保育分野の有効求人倍率は、依然として職業計より高く推移しています。質の高い福祉サービスを将来にわたって安定的に供給していくためには、人材の確保がより一層求められます。 本会では、これまでも定期的に福祉人材の確保・育成・定着に関する調査を行ってきました。また、東社協業種別部会においても、各分野の人材をめぐる状況について調査が行われています。 令和4~6(2022 ~ 2024)年度の東社協中期計画においては「福祉人材の確保・育成・定着の推進」を取組みの方向性の一つに位置づけ、2022 年9月に東社協会員福祉施設・事業所(3,556 か所)を対象に「質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着に関する調査2022」を実施しました。実施にあたっては、高齢や障害、児童、保育等の業種を横断し、また、「施設長」「指導的職員」「初任者」「実習生」の4つの層を縦断する調査設計としました。2016年に実施した同調査との経年による比較を主な目的としながらも、近年受入れがすすんでいる外国人材の状況や新型コロナの影響に関して新たに問いを設けました。 本書では、第一章に本調査結果から得られた福祉人材の確保・育成・定着に関する状況や新型コロナの影響などをまとめた「調査結果のポイント」を掲載しています。第二章の「資料編」では、4つの層の調査結果を 2016 年の結果との比較を交えながらまとめました。結果からは、福祉人材の確保の点で実習や職場体験等の体験が重要な機会となっていることや指導的職員層をはじめとする職員の育成が難しい現状、福祉未経験者職員への丁寧な指導や外国人材受入れの際の工夫などが分かりました。 本書が、質の高い福祉サービスの提供が人材の定着と確保に結びつく「質と量の好循環」を、福祉業界全体でより広げていくきっかけとなれば幸いです。
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